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朝倉 怜士 氏 デジタルメディア評論家・ジャーナリスト

しっかりとした音像と 時間軸に則って 音楽を華麗に描くME5

ME5で聴く「サムウェア・サムバディ」には新鮮な聞き味があります。ひとつはベースのキレ感が良い。聴き始めで早くも掴みがあるんです。ベースの転がし方と言うか、ベースの弾き方と言うか、これが立ち上がりと終息が俊敏なので、ダレ感が無い。ここの部分の表現は結構難しくスピーカーでも結構ダレがあるんですけれども、本イヤホンは時間軸的にしっかりと収まっている。あとはマラカスなど細かい音がクリアであり、透明感が高い。味わいのある、ちょっと渋みのある女性ボーカルの特徴をよく捉えている。男性と女性が掛け合いをするんですけれども、この掛け合いがスリリングだなと感じます。音場の抜け感、透明感が良いので、澄んだ、気持ちの良い、クリアなボーカルがバックバンドとコラボして、心地良く聴けます。

2番目のビッグバンドも、ピアノから始まり、ベースが来て、金管のオブリが、サックスのソロが入って、弦のオブリに至る、という構成なのですが、ひとつひとつの楽器の入り方が峻烈です。来た音がちゃんと消えて次ぎに、濁ることなく次の音に入っていくという、音場の中で時間軸とともに進んでいく音の進行感のクオリティが高い。ベースの弾み方と音階感が聴いていて気持ち良いですね。あともうひとつは弦のセクシーさと言うか、くねくねとお尻をくねらせるような弦のオブリも官能的。あるべき瞬間にあるべき音が出てくるという印象で、演奏家が込めた表現のエッセンスが、良くでているなと感じます。

3番目のチョ・ソンジンのピアノ。このピアニストは表現がたいへん豊かで、強弱の表情と、音色の多彩さ、そして時間軸のコントロールがたいへん巧みです。ちょっとこうずらしたり、ちょっと早めたりするところがロマンティックなんですね。それに対してノセダとロンドン交響楽団も濃密な表情を作っていて、躍動感をめぐって戦っているような感じがあります。そのダイナミックな音楽のやり取りがとてもクリアにわかります。もうひとつこのチョ・ソンジンの演奏の特徴である、メロディーラインに対して少しアゴーギグというか、音の揺れがありますが、そんなニュアンスの感じがよく出ています。

ME5では、ボーカルとビッグバンドジャズ、オーケストラを聴きましたが、相手を選ばず、どのコンテンツも正しい時間軸で、音場が得られました。しっかりとした音像があり、それがしっかりとした時間軸に則って、音楽を華麗に描いているということが感じられました。